クレジットカードのガラパゴス化への危惧


クレジットカードのガラパゴス化

 「ガラパゴス化」とは、ガラパゴス諸島の生態系から来た警句である。
 孤立した環境で製品が著しく進行すると、外部の製品との互換性を失い孤立するとともに、汎用性や価格面で海外との競争に負け淘汰されてしまう状況のことをいう。
 国内の某クレジットカード会社の最近の取組みが、以前の日本のスーパー携帯に似た、ガラパゴス化の動きに似ているため、危機感を感じてしまう。

スーパーアプリの登場

 某クレジットカード会社では、2023年からモバイル総合金融サービスを開始した。
 銀行や決済に加え、証券、保険等、必要な金融サービスを1つのアプリでまとめて管理・利用できる。
 この商品がリリースされた際は、他社グループへの顧客流出を防ぐための一種の囲い込み商法であると感じたところである。
 複数のサービスを一元管理できるところが特徴であるが、一方で商品が複雑すぎるため、わかりづらい面もある。
 

ポイントの魅力向上が重要

 クレジットカード会社はあくまでもクレジットカードを発行する会社である。
 個人的な見解では、クレジットカード会社のアプリはスーパーアプリにする必要はない。
 モバイル総合金融サービスを提供しようと尽力する某クレジットカード会社は、若干方向性を間違っている気がする。
 一番重要なことは、アプリの機能の充実ではなく、ポイントの価値と利便性の向上であるからだ。
 1ポイントの価値が高く、交換先が豊富であることが重要だ。
 某クレジットカード会社の会員は、その金融グループの銀行の口座を保有していないことも多い。
 金融グループ内のサービス機能を有するアプリは、不要だと感じる会員も少なからずいるはずだ。
 スーパーアプリへのシステム開発・改修費用に数千万円から数億円を投じるより、ぜひカード特典の充実化、ポイントの魅力向上に投資していただきたい。