「以遠権フライト」はマイナーな航空会社にも乗れます!


 通常の国際航空運輸では、出発地Aから目的地Bまでの運行であるが、目的地Bに到着後、更に最終目的地Cまで運行することがある。
 今回は、そんなレアな運航「以遠権フライト」について紹介する。

 まず、「以遠権(いえんけん)」の用語から説明する。
 国土交通省によると以遠権とは、「相手国を経由して第三国への輸送を行う権利」、「二国間輸送に加えて、以遠地点への輸送ができる権利」と定義されている。

 以遠権フライトの例として、エチオピア航空のフライトをみてみよう。
 「アディスアベバ→仁川→成田」のフライトであるが、「仁川→成田」の区間が以遠権フライトになる。
 アジア地域内のフライトであるにもかかわらず、アフリカの航空会社に乗れる。


 また、有名な以遠権フライトでは、シンガポール航空のフライトがある。
 「シンガポール→成田→ロサンゼルス」のフライトであるが、「成田→ロサンゼルス」の区間が以遠権フライトになる。

 シンガポール航空は、機内食もサービスも素晴らしいと言われる。JAL、ANA、アメリカの航空会社も良いが、シンガポール航空も高評価なエアラインなので、機会があれば乗ってみたいところだ。

 では、以遠権フライトの魅力は何かだが、ずばり、ビジネスクラス、ファーストクラスでも低価格であることが多いことだ。他社も運航している路線であり、空いている席を販売する以上、安くせざるを得ないのだろう。

 筆者もかなり昔にカタール航空で以遠権フライトに乗ったことがある。
 「ドーハ→トリポリ→カサブランカ」のフライトで、ドーハからカサブランカまで搭乗した。トリポリ到着後、機内待機となり、トリポリから搭乗する客を機内で待った。もちろん、リビア政府関係者によるパスポートチェックが機内で行われたが、入国審査はなかった。なお、当時はカダフィ大佐の時代である。

 現在は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、フライト自体が運休となっていることが多い。終息後、以遠権フライトが復活すると思われるので、海外旅行の際は、以遠権フライトもぜひ選択肢の一つにしていただきたい。