ダイナースクラブカードは使える?使えない?

【出典】三井住友トラストクラブ株式会社

 Travel&Entertainment(T&A)系のクレジットカードで有名な、ダイナースクラブカード。
 ダイナースクラブカードは、国内では、三井住友信託銀行傘下の三井住友トラストクラブ株式会社が発行している。

 ここで、ダイナースクラブカードの歴史を振り返ってみる。
 日本交通公社(現:JTB)と富士銀行(現:みずほ銀行)が共同で、1960年12月に「日本ダイナースクラブ」を設立した。医師、弁護士、経営者等の富裕層をカード会員の対象にして事業を行っていた。そのため、富裕層向けのクレジットカードのイメージが今も残る。
 2000年、シティコープ(現:シティグループ)がダイナースクラブを買収したことに伴い、日本ダイナースも「シティコープダイナースクラブジャパン」に社名変更した。そして、2004年12月に会社分割し、シティバンク銀行が事業を承継した。
 2008年、シティグループがディスカバーカードへブランド売却した後も、引き続きシティバンク銀行が独占フランチャイズ権を維持し運営を行っていた。
 2014年、シティバンク銀行が個人金融ビジネスから撤退したことに伴い、三井住友信託銀行がCCJの全株式を取得し、国内でのダイナースクラブカードを発行している。

 このように、国内のダイナースクラブカードはコロコロと発行会社が変更している。

 なお、「ダイナースクラブ・インターナショナル」自体も、シティグループの傘下から、現在は、ディスカバーの傘下にある。

 昔は、医師、弁護士、会社経営者等の富裕層しか入会できない富裕層向けクレジットカードだったが、現在の入会基準は、「年齢27歳以上の方」となっている。昔のようなハードルの高さはないと思われる。筆者は社会人3年目の時になぜか取得できた。当時は「30歳以上」の年齢基準があった気がする。

 年会費は、本会員24,200円(税込)、家族会員5,500円(税込)となっている。なお、「60周年記念 新規入会キャンペーン」で、2020年12月1日~2021年5月31日申し込み分まで、初年度年会費無料である。

 利用可能枠は、AMEXと同様に、一律の制限はない。すなわち、利用可能枠は、利用状況や支払い実績等によって個別に設定している。
 特典も豊富で、グルメ、トラベル、エンタテイメント、ゴルフなど多彩なシーンで活用できる優待サービス、有効期限がなく貯められるポイント、最高1億円の旅行傷害保険などが、ダイナースクラブカードの特徴である。

 T&A系クレジットカードの問題点としては、加盟店が少なく、使えないことが多いことだ。ダイナースクラブのホームページで調べてみたが、加盟店数は世界3,500万店以上あるらしい。

 40か国以上海外旅行で訪れたことがあるが、ダイナースクラブは使えるお店が少ない印象である。
 ドイツには7回以上行ったことがあるが、ドイツ国内では、高級な飲食店・ホテルを除いて、ダイナースクラブが使えるお店は少ない。ドイツ人の友人に試しに「ダイナースクラブを知っているか」と聞いたことがあるが、ブランドへの認知度は一応あるようだ。その友人はダイナースクラブカードは持っていない。一方で、同じT&E系クレジットカードのAMEXは割と使える感じだった。
 ヨーロッパの他の国でも同様で、一部の地域を除いて、ダイナースクラブは使えない。
 旅行以外で、2週間ほど仕事でヨーロッパへ行ったことがあるが、欧米人の財布の中は、Visa、MasterCard、AMEXは入っていたが、ダイナースクラブカードは見たことがなかった。
 現地の方がダイナースクラブカードを使っていない以上、ダイナースクラブを使えるお店が減少するのは仕方がないと思う。
 一方で、スペイン、ポルトガル、オーストリアでは、ダイナースクラブを使えるお店が若干あった。

 ちなみに、アジア、中東、オセアニアの地域でも、ダイナースクラブを使えるお店は少ない。

 ダイナースクラブは好きなクレジットカードではあるが、使えないところが多いため、個人的には「ダイナースクラブカード」は「ダイナソークラブカード」と思ってしまう。恐竜のように、昔は繁栄していたが、一部の地域では絶滅した決済手段の意味である。

 海外旅行でクレジットカードをダイナースクラブしか持って行かなかった場合、おそらく大変なことになると思う。そのためか、国内のダイナースクラブカードを申し込むと、MasterCardのコンパニオンカードが付いてくるようになった。

【出典】三井住友トラストクラブ株式会社

 さて、ヨーロッパでのここ最近の決済トレンドを紹介する。
 ヨーロッパで、一番便利な決済手段は、タッチ決済である。スーパー、駅、トイレ、観光施設では、Visa、MasterCardのタッチ決済が利用できるようになった。現地の方もタッチ決済をよく利用していた。

 特に便利だったのが駅のトイレである。昔は、トイレ入口の機械に硬貨を投入してトイレ利用料を払っていた。一日に何回も公衆トイレを利用すると、硬貨が足りなくなるため、友人と硬貨のシェアをしていた。トイレにもタッチ決済が導入されたため、硬貨の持ち歩きが減った。

 海外へ行く機会はなくなった。しかしいつかは海外へ行ける機会は訪れる。その時に向け、各クレジットカード会社はタッチ決済を標準装備にしていただきたい。
 そして、海外へ行かれる方は、タッチ決済機能のあるクレジットカードをぜひ持参いただきたい。